日々雑論 [食品偽装問題] ま、資本主義の世の中だからねえ

 まあ、ウナギやら牛肉やら「偽装問題」がここんところ幅を利かせておりますな。
 以下、毎日新聞より

<食品偽装>「どっこいしょ」で“国産”に早変わり 元社員ら手口証言
6月24日15時41分配信 毎日新聞


 規格外の牛肉をブランド牛「飛騨牛」として販売した岐阜県の業者が行政の立ち入り調査を受けるなど、とどまることを知らない食品偽装の連鎖。中国産野菜や台湾産ウナギを国産と偽装し、長崎、鹿児島両県警がそれぞれ摘発した事件では、元社員らが毎日新聞の取材などに不正の手口を明かした。偽装のため段ボール箱を移し替える作業は「どっこいしょ」と隠語で呼び、仕入れ値の5倍で販売。「とにかく、もうけたかった」。そこには利益を優先させる企業論理が浮かぶ。【山崎太郎、大塚仁】

 中国産野菜を国産と偽装、販売したとされる長崎県島原市の食品製造会社「ニチエイ食品工業」(破産手続き中)。同社前社長の父で実質的な経営者、児島幸助(56)ら3容疑者が不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で逮捕された。元社員や関係者らは毎日新聞の取材に対し「偽装は03年の会社設立当初から」と証言。偽装工作には他の社員も加わっていたという。

 元社員によると、中国産の野菜は児島容疑者ら一部の役員・社員が開封し、パートらが「国内産」と書かれた袋に詰めて出荷。この作業は「リパック」「詰め替え」の隠語で呼ばれた。

 中国産里芋を「国産」と書かれた段ボール箱に移し替える「どっこいしょ」と呼ばれる作業もあった。休日に数人の社員が集められ、毎回5トン分を移し替えたという。

 「買値が1キロ200円で、売値は1000円。とにかくもうかった」(別の元社員)。作業が終わると、幹部から1万円の入った封筒を配られたという。元社員は「いけないことと思っていたが、引き返せなくなった」と吐露した。

 長崎県警幹部は「多かれ少なかれ、業界全体で偽装をしているのでは」と指摘。容疑者の一人が調べに対し「うちだけではない」と言明しているからだ。

 台湾産ウナギを国産として販売していた静岡市の食品総合商社「東海澱粉」の偽装事件では、同法違反(産地誤認惹起)容疑で2人が逮捕、起訴された。

 その一人、同社大隅営業所(鹿児島県東串良町)の元所長、鈴木禎之被告(43)は九州農政局の調べに「営業成績が下がると所長会議で厳しく指導されると思った」と話した。

 発覚防止のため、購入した台湾ウナギについて「卸業者に販売し、同じ業者から国産を購入」という架空伝票を作成した。この手法を考案した前任の所長、片山真被告(46)は、後任の鈴木被告に「利益を上げるためには偽装しかない」と言い含めたという。

 九州農政局幹部はウナギ偽装について「消費者の国産志向が高まる一方、国内消費量の8割は輸入モノ。国産供給量不足という構造的な背景があるのではないか」と分析している。

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 長崎県島原市の食品製造会社「ニチエイ食品工業」(破産手続き中)による食品偽装事件で、同県警は24日、同社前社長の父で関連会社「日栄物流」前社長、児島幸助容疑者(56)=南島原市布津町=を不正競争防止法違反(虚偽表示)の容疑で再逮捕した。

 調べでは、児島容疑者は国内の輸入業者から仕入れた中国産冷凍きぬさや700キロと同冷凍里芋5480キロを段ボール箱(10キロ)に詰め替え国産と偽り、1月18日〜3月24日ごろ、商社を通じて関西や東北など5府県の給食業者に引き渡した疑い。容疑を認めているという。

 まあ、他ならぬ日本は資本主義の世の中です。「資本主義」とは要するに「金が儲かりゃええじゃないか」という事でしょう。そーやって考えていくと、別に騙そうが法螺を吹こうがそれに踊らされる人間が悪い、とも言えそうです。
 ただ、それが発覚したときのリスクを背負えるだけの安全策なり何なりを突き詰めていくとどう足掻いても逆に高くついてしまうのですな。だいぶ前に北海道の西友で牛肉偽装問題が明るみに出たとき、返金騒ぎで大混乱に陥ったのは記憶にあるかと思います。
 加えて「利益優先」ですから「従業員対策」にしてもコストカットがメインでしょうから従業員の忠誠も得られず、更に派遣やバイト、パートなどの利用による人件費カットはこの傾向に拍車をかけるわけだし。そうなると「畜生、いつもいつも安い条件でこき使いやがって…よし、内部告発だ」となってしまうのは自明の理かと思ってしまうのですが。 
 我々庶民にとってあこぎな商人から騙されないようにするための対策として一番確実なのは安い「オーストラリア産牛肉」を選び、「中国産」の野菜を買う事でしょう。北大路魯山人のような食通でもない我々は、食べただけでは本場物の近江牛なのか、それとも近くの焼肉屋で食べれるような牛肉なのか、区別は簡単に出来るとも思えませんし、わざわざ本当かどうかもわからない「ブランド牛」や「ブランド野菜」を高い値段で買うよりも遥かにそのほうが合理的ですからね。