日々雑論 [読書][半島問題][近代東洋史] 日本におけるホロコースト 同化政策

 「朝鮮独立運動の血史」読了。
 もう、これは本当に凄まじいとしか言いようがない。 半島の独立を鼓舞するための檄文である事を多少差し引いたとしても、半島における日本の「同化政策」が、ドイツのユダヤ人に対する「ホロコースト」に匹敵するものであるとしか言いようがなかった。
 「ホロコースト」は物理的、すなわちユダヤ人を全て「殺しきる」事で民族の撲滅を図ったものだが、「同化政策」は朝鮮人を全て「日本文化」に同化させる事で民族の撲滅を図ったものであるという結論にならざるを得ない。
 方法論こそ違えども、その「特定民族消去」という目的においては両者は全く同じであり、末恐ろしいものを感じる。 
 更に加えて衝撃なのが、南京大虐殺シンガポール大検証に見られる略奪犯殺の原型が既に半島での義兵闘争中や三・一独立運動中にも見られる事だ。半島における略奪犯殺行為はF・A・マッケンジー「朝鮮の悲劇」にも同様の行為が記載されており、全てはそうでないにしろ、似たような行為が半島において既に日常化していたのではなかろうか。
 「朝鮮独立運動の血史」は、どちらかと言うと義兵闘争よりも、主に三・一独立運動についての檄文が多くを占めているのだが、三・一独立運動に対する旧軍の対処や、キリスト教会への対応等を見るにつけ、南京大虐殺も「さもありなん」と思わざるを得ない。また、その檄文が生々しければ生々しいほど半島の方々の旧軍に対する「悲痛」と「怨嗟」の叫びが突き刺さる。 
 やはり、我々は「戦前の近代史」に関して頭で判っているつもりでも、実際のところはあまりにもまだ無頓着かつ無理解なのだろう。この無頓着且つ無理解、及びそれを先送りしたツケは、今、とても大きな負債となって跳ね返ってきているのではなかろうか?
 ひたすら過去を美化するだけで、下手なレイシズムを爆発させ、偏見と侮蔑、脅威論を周囲にばら撒く前に、一度自らの過去を冷静に振り返る必要が絶対にある。まずは自らの抱えた負債を清算すること。いい加減この「負債」を先延ばしして「なかった事」には出来ないし、してはならない。
 日本が真に「世界に冠たる一流国家」となるか、それとも「世界に冠たる四等国」で落ちぶれて終わるのか…
 まず第一にしなければならない事は、「道義」を正さなくてはならないだろう。
 とりあえずの締めくくりとして、「世界」1月号の金大中氏のインタビューからごく一部を抜粋する。また落ち着いたら言及すると思うがとりあえず

日本は道徳的にも高い国になっていき、世界から評価される事が重要だと思います。(略)日本と韓国は地理的にも一番近い。(略)韓日が協力して仲良く出来ないのはおかしいのです。日本と韓国の指導者や知識人が歴史的な視点で、そして未来的な視点で、両国の関係を見つめていく事を私は切に願います。(略)

まだなかなか上手く纏まらないが、今回はこれを纏めとしたい。いずれ落ち着いたらもう一度言及しようと思う。

朝鮮独立運動の血史 (1) (ワイド版東洋文庫 (214))

朝鮮独立運動の血史 (1) (ワイド版東洋文庫 (214))

朝鮮の悲劇 (東洋文庫 222)

朝鮮の悲劇 (東洋文庫 222)