日々雑論 ヘタリアというのはよくわからんが…

 どーやら「ヘタリア」とかゆー漫画があるらしい。
 戦中ファシズムのイタリアを揶揄した言葉のようだが、どーも今ひとつピンと来ないというのも手伝って、余り食指が湧かずに放置しておいたというのがアチキにおける立ち居地なんだが、ラッキー・ルチアーノなんかには興味もあって首突っ込もうかなとも思ってたりしているうちに時間だけがずるずる延びちゃったりしたりして(笑)
 それはさておき
 ファシズム独裁つーと、日独伊を挙げる風潮が結構あったりするし、まあそれについても特に異論はないんだけど、その中でイタリアを「ヘタリア」とした意図がよくわからないというのがある。3国のうちで一番最初に無条件降伏したからという所とかからきているような感じを受けるのだが、ホロコースト同化政策に代表されるドイツや日本のような「他民族の抹消」政策を取らなかった点などから見ても、フランコ政権下のスペインやサラザール博士治下のポルトガルと同じくらいにはちったぁ評価されてもいいんじゃないの?という気もしないではない。もっとも、評価するという事とファシズムを肯定するという事とは全くの別問題で、評価したからといって肯定、追従する気は毛頭ないんだけど。 
 で、ウサンクサイケイ新聞のデンパ浴や変な黄色い猫の観察も一寸飽きた事だし、手持ちの数少ないイタリアのファシズムネタから拾い上げて、ちみっとばかしブーたれてみようというのが今回のエントリな訳ですが、ここからが本題です。
 征夷大将軍様や天皇陛下、D・マッカーサー元帥などといったコロコロ変わる「オカミ」にひたすら平身低頭し、媚び諂ってゴマをするどっかの東の果ての島国と違って、イタリアのファシズムに関しての結論は、複雑すぎて絶対に組みあがらないパズルを無理にくみ上げようとして失敗した、につきると思う訳だ。
 どーいう事かと言いますとですね…
 イタリア統一は北部の王家が教会と南部を強引に力、つまり軍事力と工業力でねじ伏せた事で成し遂げられたと解釈している。という事は常に北部と南部、工業労働者と農民、王家と教会、資本家、労働者、農民、といった確実に相反する要素が1国の中に混在しており、1次欧州大戦で戦勝国になりはしたけど国力が疲弊、もともとこれだけ相反する要素が詰まっている中に世界恐慌がやってきて、王家による支配体制がパンクしたと考えるのが妥当じゃないかと思うんだな。
 で、当然パンクした市民生活の中で、あらゆる階層に反対する団体が現れるんだけど、これがファシズムというわけだ。以下、山崎功「全体主義体制」より一部抜粋

(略)ファシズム運動が、反資本・反王家・反教会・反労働の事を言ったが、反資本・反労働に関しては大地主がファシズムを支持し、反労働・反教会に関しては都市ブルジョワジーが支援した。またイデオロギー的基盤には封建的要素を多分に含んでいたことが、反王家の宣伝にも拘らず、王家を納得させるものとなった。支配的階層のそれぞれの部分的な支持が、小市民を基盤とする運動の政権獲得を黙認したのであり、ある意味では、全ての支配勢力の合作であった(略)

じゃあ何故パンクしたの?となるんだけど、それは簡単。ドレッシングの水と油をいかに振ってみたところで、結局分離しちゃうでしょ? あれと一緒ですな。

(略)階級闘争は激化し、罷業に告ぐ罷業となり、最後は労働者の武装抗争に終わる。支持者であった王家は見放し、協力者であった軍部も見放し、和解した教会も反対の立場を取る。元々雑多な要素の集合体であったファシスト党は、それぞれの出発点へ帰ってゆく。最大のものは旧革命的サンディカリストと旧国家主義者の分離であり、反目である。資本者間の抗争も生じ、資本家自身がこの体制は役立たぬのを見て、自らこれを廃棄する立場を取る。超階級を旗印に出発した体制も、このように階級的矛盾のゆえに解体する。(略)

 以下は山崎功「全体主義体制」からの抜粋だけど、ここまで説明されれば十分でしょ?と思う訳だ。id:usopamchiさんがご自身のエントリでも仰ってられるが、むしろこうやって内部から自浄作用が働いて崩れ去るという点においては、自浄作用何ザ全く期待できないどっかの極東の島国のほうがよっぽどヘタレと思うんですが如何でしょうかねえ?(笑)