日々雑論 百姓も超大企業サマもやってるこたぁ一緒だねえ

以下、平岡/上杉対談集「どーもすいません」より抜粋

平岡:百姓といやあ、下堀のカメ公につきる。
上杉:なんですか?その下堀のカメ公って
平岡:ウチの遠い親戚で二宮尊徳を信奉してるんだよな(笑)。ウチはずっと東京に土着してたから、戦争末期に疎開しようと思っても、疎開する田舎がないんだよね。で、散々探したら母方の遠い親戚が小田原在住の酒匂にあって、そこに疎開したんだ。(中略)食うために買出しに行かなければならないんだ。そこから東海道線の線路を越えて一理くらい離れたところに、堀口という親戚があるってんで、いつも母親に手を引かれてイモなんかを買いに行くわけ。上杉さんの時代は、竹の子生活って言葉まだあったの?
上杉:竹の子生活ですか?竹の子族じゃないでしょ?
平岡:うん、あの時代は物凄いインフレでしょ?金なんかあってもないようなもんですよね?だから、百姓は金では売ってくれないんだ。自分の着ているものを一枚一枚脱いで食料に換えるわけ。
上杉:物々交換
平岡:カラダか着物だよな。着物を売りつくしちゃうと、カラダしかない。
上杉:そうですね。
平岡:で、フスマを買いに行ったんだよ。俺たち、その当時はフスマパンというのをよく食ってたの。フスマとうどん粉混ぜて。
上杉:馬みたいなもんだ。
平岡:馬ならいい。豚以下に扱われた。で、下堀のカメ公のウチまで買いに行ったんだ。すると、カメ公が出てきて「オメエッち今日何もって来ただか」て言うんだよね。金のほかに指輪だとか、マフラーだとか、毛皮だとか、着物だとかね。金払って、百姓に物やって、それでやっとフスマをもらうわけね。米なんか全然売ってくれねえから。それで、何回目かの時、カメ公が「オメエッちにやるフスマなんかねえ。豚に食わせる餌のほうが大事だ」なんて言いやがった。
上杉:はははははは……その二宮尊徳が言ったわけですね。フスマをブタに食わせるって。
平岡:その時、俺は悔しかったなぁ。(中略)あの下堀のカメ公だけは許さない(笑)。そのころ、供出ってあったんだよね。
上杉:ああ、ありましたね。内は寺だから梵鐘を供出したそうです。戦時中の話ですけど。
平岡:釣鐘じゃ食えねえよな(笑)。で、俺、その時、日本の百姓の小ずるさというのを嫌と言うほど見たんだよ。食料調達の役人が来るとさ、「もうねぇ」って米俵にしがみついてるんだ。「こんなことして百姓を殺す気か」なんて言ってた婆ぁがさ、役人が行ってしまうと、ケロっとして、「今日はこれだけで助かった」っていって、床の下にいっぱいあったりするんだよな(笑)。百姓のサイドから言えば役人が収奪していくって理屈もあるけど、そういうのは認めないのね。俺は、金がないって言ったときは本当にないわけよ。ところが、あるくせにないって言ってる人間がいる。それ以来、俺は百姓が嫌いでね。(略)

凄く楽しい本なので何度も何度も引用してしまうのだが、これって今の超大企業様や政府様にも十分に当てはまる事じゃねえか?と思ってしまった訳だ。
 どこがどう当てはまるかってか?
 この部分だ。

カメ公が「オメエッちにやるフスマなんかねえ。豚に食わせる餌のほうが大事だ」なんて言いやがった。

と、この部分

食料調達の役人が来るとさ、「もうねぇ」って米俵にしがみついてるんだ。「こんなことして百姓を殺す気か」なんて言ってた婆ぁがさ、役人が行ってしまうと、ケロっとして、「今日はこれだけで助かった」っていって、床の下にいっぱいあったりするんだよな(笑)。

これをそっくり違う言葉に替えてみよう。

超大企業の上役が「オメエッち派遣や新人にやる賞与や仕事なんかねえ。豚に食わせる餌のほうが大事だ」なんて言いやがった。

監査の役人なんかが来るとさ、「100年に一度の大不況だ」って公開帳簿や企業発表の減益発表にしがみついてるんだ。「こんなことして企業を潰す気か」なんて言ってた経団連なんかの連中がさ、役人が行ってしまうと、ケロっとして、「今日はこれだけで助かった」っていって、余剰の内部留保がいっぱいあったりするんだよな(笑)。

ね? そっくりそのまま今でも十分通用するでしょ? 今で言えば超大企業の経団連の連中なんかは本音じゃ労働者や派遣業務の人間何ザぁブタ以下の扱いでいいと思ってんだろうというのが丸分かりだ。まあ、そんな企業やオカミが生き残れるとは到底思えないんだけどね(笑)