日々雑論 確かに官僚は俺も嫌いなんだけどねえ…

 夜勤明けで朝、上司がテレビ見てたのをぼけっと聞いてて思った。
 みのもんたが官僚の無駄とか民間と官僚の賞与の違いとか、ナントカカントカいろいろテレビの前で力一杯説明していたが、なぁんだかなぁ…と思ってしまった訳だ。
 確かに今のこの不況下、官僚の各種恩恵は「うらやましーねー」という妬み嫉みの感情はありますよ、ええありますとも。
 だけど一寸思い出してもらいたい。
 今を去る事15〜6年前のバブル真っ盛りの時、「官僚何ザくだらねえ」とブイブイ言わせていたのは他ならぬ民間だったし、いわゆる「ヤンエグ」と中小ベンチャー企業が雨後の竹の子のようにブームとなり、我先に独立独立と煽り立てたのも他でもないマスコミ含めての世論だったはずだ。
 民間の調子が良すぎるときは小バカにされ、不景気になったらなったで叩かれる。
 これじゃつまんねえプライドや後々の天下りに思いを馳せてじっと耐えるのも仕方なかろうと思う訳だ。
 で、更に今回の急速な不景気である。
 最近のテレビの風潮だと、何が何でも官僚が悪いと、郵便ポストが赤いのも空が青いのもみんな官僚が悪いような雰囲気があるのだが、ある意味当たり前なんだけど大企業が悪いという報道はついぞお目にかかったことがない。
 トヨタの大減産にしろソニーの大量解雇にしろ、「台所が苦しい」という報道は腐るほど見てきたが、まあ目に付く限りでは
 民間がこれだけ苦しいのに完了ばかりのうのうとしてやがる
 といった、どれも似たり寄ったりのもので取り立てて取り上げるものでもないのだけれど、ざっと見る限りこうなってしまった原因を探ろうとする思考実験の報道は見当たらない。
 まあ、そんなの原因なんか判りきった事なんだけど。
 個人所得の増加や、個人消費の拡大対策といった内需の強化拡大を避けまくり、ただ海外での不安定な特需に見込んで物が売れてた「だけ」であり、国内においては労働力における対価を派遣の利用や海外研修生制度などでぎりぎりまでに切り捨てて押さえ込み、ひたすら利益の蓄えとコストダウンに走った結果でしょ? 更に加えていうなれば海外、特にめりけんで物が売れてた理由も「実態のない利益」つまり債権バブルでカネが動いていたからでしょ? それに当て込んで企業が更に債権バブルで投資して、実力以上にカネが動き、結果破綻したからでしょ?
 その責任は何処が取るかといえば、債権コロガシを担いだ企業連中、更に言えば労働力の流動化と金融ビッグバンという名の金融流動化を率先してすすめた関連企業と各種利益団体にあるんじゃないの?と思ってしまうのだ。
 もともと低い国の社会保障政策といい、それを補完する形で隠れ蓑になっていた企業の社会保障規制の各種緩和と人件費抑制のための雇用流動化といい、更にその手の報道を全く目立たせていない事と言い、官−民−政−報の鉄の四角形の構図がおぼろげながら見えてきますね。
で、近年の官僚たたきはただのスケープゴートにしか見えないのだな。
 麻生大臣の支持率の急激な低下なんかにも言えそうな事なんだけど、麻生大臣に限って言えばわざわざガソリンぶっ掛けて轟々と燃え盛る火中の中の栗を拾いに言ったという感じがしないでもないのでウサンクサイケイ新聞流に言うならば「自己責任だから仕方ないよね」とも取れるんだけど、どーも矛盾した社会に対する「ガス抜き」の意味合いに見えて仕方がない。ただのちまっとした「カイカク」という名の化粧直しで誤魔化してもいずれ先は見えている気がする。