日々雑論 歴史修正主義に関する考察 22 2008年のまとめにもなるけどね

 さて、2008年も無事終わり、2009年になる訳ですが、今更ながらに呆れるのが「歴史修正主義」の御方々の劣化振りと頑迷さに尽きるわけで。まあ、前にここのコメント欄で「相手にしない」と言ってしまったにもかかわらずid:Apeman様のエントリで未解決のままスルーされているにもかかわらず喰らいついた一知半解氏にちと腹を立ててしまったと言うのが一番の理由なんだけど、id:Apeman様のコメ欄を本来以外の目的で汚すのも気が引けるのでこちらでいろいろくっちゃべってみることにしようかと。
 残念ながら一知半解氏の言わんとしている事が全く理解できなかった。
 が、ある事を考えてからもう一度目を通してみると良く判った。
 しかし、良く判ったからと言って正しいことを言っているかと言われれば全くそれは正しくないという確信を得るに至ったのでここでそれを指摘してみよう。
 自分の頭が悪いかと言われれば、少なくとも良くはないだろうという事は自身でも判っている。
 そもそも近代東洋史に首を突っ込んだきっかけは「やられた」記録はわんさか出てくるのに「やった」記録は殆ど出て来ない事に対する不自然さであり、わだつみ派における戦争反対論や沖縄戦における「尊い犠牲」という世間一般の理解の仕方に対して非常に胡散臭いものを感じていたというのが根底にある訳だ。 
 案の定と言うかやはりと言うかこの胡散臭さに関しては見事的中したわけだが。 
 問題は非常に簡単なのだ。何もここまで話がややこしくなる事でもない。
 日清日露からこの方ずっと半島や大陸の方々に対する侮蔑の感情と、日本こそは東亜の盟主であるという全く根拠のない思い上がりが当時における日本国民の基礎土台として存在し、その基礎土台に基づいて忠実に行動した挙句の結果であって、21世紀となった今でも尚土台に燻っているこの「アジア諸国に対する意味のない侮蔑の感情」と「日本こそが東洋の盟主であるという根拠のない思い込み」をどうにか治療しない限り、ネトウヨ歴史修正主義といった妄言盲動は後を絶たないだろう。
 で、一知半解氏の件である。
 この「日本こそが世界に冠たる東洋の覇者であり盟主である」という全く無意味な思い込みと他のアジア諸国に対する根拠のない侮蔑を基礎土台として考えると解かり過ぎる位に解ってしまうのだ。件の方は「山本七平」のみを基準値としているが、その山本七平自身が意味のない選民思想の持ち主である事が実に容易に読み取れる為、おそらく一知半解氏の持つ、無意識下での他のアジア諸国に対する侮蔑と嫌悪が手伝ってあのような結論になってしまっていると思われる。
 要は「日本は東洋の盟主であり覇者である」という思い上がりと自惚れがあるからこそ「自国を貶めているのか」という返答が何の疑問を持つことなく連中から出てくるのだし、よく話題になる首切り包丁の性能についても「そんなに人を切れるものではない」という話と「世界最強の人きり包丁である」という、普通の頭で考えたらコイツラ頭おかしいんじゃないの?一体どっちだよオラとなるような結論にならざるを得ない場合でも「連中」にとっては平然と答えになるわけだ。これは何もオイラだけの意見ではない。前にも取り上げたけど、山形浩生氏翻訳の「ニグロフォビア」後書きにも見られるように、世界一般での平均的な日本の評価である。

 日本人の多くが、差別されることには妙に敏感なくせに、自分がやっている差別にはきわめて鈍感だという点だ。
 日本人の多くは、自分には差別意識などないと思っている。差別はいけませんと教わったし、それを実地に試す機会が少ないので、深く考える必要もないまま暮らしていけるのである。だが現実には、われわれのほとんどは度し難い人種差別主義者であり、ついでにさしたる根拠もなく日本が世界で一番偉いと思っている。これは別にぼくだけの意見ではない。外国で出版されている日本についてのガイドブックなどを読むと、しばしば「日本人の異様な自民族中心主義さえ我慢できれば、日本はよいところだ」「日本人は白人には妙に親切だが、それ以外の外国人旅行者は不愉快な目に会うかもしれない」などの記述が見られる。みんなちゃんと見ているのである。

 2回目の引用になるが、これだけでどう評価されているか一目瞭然だろう。
 「東洋の覇者であり盟主たる」「日本の軍隊」がそのような「野蛮な事をするはずがない」という見事に間違った基礎土台のもとにアジア太平洋戦争を構築しようにも、略奪犯殺の証言、虐殺の証拠、軍政下での様々な横暴、本土における様々な武勇伝が現に存在しており双方共にコインの裏表のように一致している以上揉み消す事は不可能だ。またその間違った基礎土台があるからこそあれだけの蛮行が平然と行われたわけだし。となれば殊更相手を貶めるか、重箱の隅をつついて撹乱させる以外に手はないわけで。もともとアジア諸国に対しての侮蔑と根拠のない思い上がりが根っこにある以上、ガキが昆虫ばらして遊ぶ感覚で盛んに首切り競争が報じられ、その中で「たまたま」両少尉の「首落とし競争」が注目された、という所が実状だろう。 で、山本七平だけに言える問題ではないので事は非常に根が深いのだが、この「無意識下での選民思想と侮蔑感情」が生きている限り「世界の孤児一歩手前」からはまず抜け出す事は出来ないかと思われる。
 長々と今まで垂れ流してきたが、一知半解氏のレベルの見当が付いたのでここで改めて指摘しておくが、恐らく何を言っても無駄だしApeman様のように、山本七平の抱える矛盾をそれこそ山のように指摘しても当人はますます意固地になるだけだろう。そんな御仁には何を読んでも一緒だしどれを調べても結論は変わらないのだから何を薦めても無駄と突き放すのも一つの手段だが、まずは民間右翼と当時の社会情勢から首を突っ込んで調べなおすのが一番の治療法と思われる。
 ちょこちょこここでも言及しているが、頭山満内田良平あたりから、2.26の思想的下敷きとなった北一輝、大亜細亜主義大川周明血盟団などをとりあえず首突っ込んで御覧なさいとだけ言っておく。まあ、首を突っ込んで調べるかどうかは本人次第だし、ここまでボロクソに言われて何も動こうとしないのであればそれこそ本当に終わりだけどね(笑)*1

*1:当の本人が目を通してなければ意味ありませんが、まあ、ここまで挑発されても見当違いの文面取り上げて終わりなら本当に救いようがありませんけどね(笑)いわば最後通牒