日々雑論 すごく怖い話

 まー、参議院選挙の民主党の大コケはある程度予想してましたが、まさか自民党に逆転されるとは思わなかったねえ。民主党随一の豪腕、小沢氏が駆逐され、既存権力への擦り寄りなんかも露骨になって、なんか妙な方向に進んできたなあとは思ってましたが、その点自民党にはまだまだ海千山千の狸が生きていたと言う事でしょう。
 そんなこんなでメイスン&ディクソンもなんとか上巻の半分が終わり、いよいよ本番突入という近況ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 とまあ、テキトーな近況はおいといて。
 もう、既に過去の芸人と化してしまった感のあるタモヤンこと田母神元空自幕僚長ですが、多分本人が言っていることは周りにとっては周回遅れのギャグにしか見えないのに本人にとってはすべてマジであり、恐らくこの終わった芸人の発言の大元としての思考回路というか基本的骨格は、航空自衛隊という組織の骨格を代表しているのではないかと今、オイラは思い始めている。
 そういう意味では自衛隊という組織自体が非常に危険な思想集団という事になり、非常に怖いことになる訳だけど、なぜそんな事を思い始めているのかというのは少し理由がある。平岡正明「平民芸術」より一部抜粋。太字赤字はこちらで加工。

(略)自衛隊の練習機が全日空機にオカマを掘られたあれだ。練習機の教官、市川雷蔵に似た美男の隈田茂津一尉(当時三十一歳)が事情説明に現れたときから、ヘタッピイ飛行機乗りのミスどころではなくなった。旅客気が八千八百m高度で定期航路を飛んでいた。これを仮想標的にした自衛隊の練習機2機が接近練習のために近づいた。練習生市川二曹がジェット機滞空訓練23時間のいわば仮免ライダーだったために、旅客機に追突された。自衛官はパラシュートで逃げた。旅客機のほうはパラシュートなどないから…162人が死んだ。なんで旅客機を仮想標的に接近戦の練習をしたかというと、オホーツク上空で自衛隊機はソ連機相手に緊急発進を繰り返していたからである。 接触寸前、隈教官は、市川二曹に「ボギー、ブルアップ、ライトターン!」と叫んでいる。
 隈田茂津一尉は記者団の質問に答えて、我々は国防の第一線でソ連パイロットの顔が見えるほど接近するという緊迫した毎日を送っている。それなのに軍の練習空域と民間機の航路が重なり、旅客機にのったらのったら飛ばれているようでは練習にもならない。しかも自衛隊の上層部は気兼ねして我々の行動を狭めることばかり考えている、といった旨を、職業軍人らしい折り目正しさで語り、この発言が彼の所属する松島航空隊で喝采を受けるという事態も起こっていたのである。(略)

全日空機雫石衝突事故での一幕だが、この事件が1971年だ。軍は国民を守るために存在するというのはただの妄言でありお題目に過ぎないというよい見本だが、民間機を仮想標的に設定してのスクランブル訓練自体何をかいわんやという程の噴飯物だが、この事件から既に40年近く経過した今、一介の尉官のこの発言と、元空自幕僚長の数々の発言とがオーバーラップして、非常に似かよった匂いを感じてしまうのだ。
 つまり、何が言いたいのかというと、あの元空自幕僚長の一連の発言は、空時幕僚長一人だけのものではなく、航空自衛隊という一つの強大な力を持った軍事組織における共通認識であり、上は幕僚長から下は単なる一兵卒まで阿呆守化している可能性が非常に高いということである。 
 これは、すごく怖い事ですよ。